2024.01.11

10代のデジタルエチケット制作現場見学vol.2【制作工程見学篇】

2023年12月9日、「10代のデジタルエチケット」プログラムにおける活動の一環として、「10代のデジタルエチケットキャッチコピーAWARD 2023」の最優秀賞と優秀賞を受賞した高等学校の生徒2名によるプロのクリエイターの制作現場訪問を実施しました。

見学先は、最優秀賞の特典のキャッチコピー映像化を担当する、プロのクリエイターであるアニメーション作家の今津良樹氏。どのような過程を経て映像作品が制作されるのか、その作品づくりの手法や仕事への向き合い方など、コンテンツ制作をリアルに体験いただきました!

今回は、実際に企画からアニメーションを作る制作過程などを見せていただきました。

現場見学の様子:(左より)今津良樹さん、井口穂香さん、石関彩絵さん

AWARD最優秀賞受賞作品の映像化プロジェクトについて

今回、10代向けのデジタルエチケットキャッチコピーAWARD 2023で最優秀賞を獲得した井口さんのキャッチコピー「見えない世界でも良い人でありたい。」をもとに、今津氏が映像制作を進行します。現場見学の日には、このキャッチコピーと井口さんのアイデアから今津氏がインスピレーションを受けて考案した企画内容とストーリーボードについて、今津氏ご本人からご説明いただきました。これを基に映像制作、音楽やナレーションの追加、編集など、作品を完成させるための重要な工程が始まります!

今津氏: 今回の企画については、井口さんとヒアリングを行い、その内容を元にアイデアを考えました。まず、キャッチコピーの解釈として、「見えない世界でも良い人でありたい。」という言葉を、新しい世界への一歩を踏み出すための言葉として捉えてみました。そもそも、インターネットの世界は様々な問題を抱えていますが、それらの問題は自然に発生するものではなく、誰かが積極的に行動することで生じるものですよね。

例えば、インターネットは、現実世界では見つけにくい新しい出会いの可能性を秘めていますが、悪意のある人による匿名の冷たい言葉のように危険性もはらんでいます。井口さんからは、実はアノマロカリスという古代生物が好きだが、普段の生活範囲では共通の趣味のお友達はいないということや、SNSに興味はあるが匿名性の怖さもあり自分自身ではあまり活用していないことなども教えてもらいました。

そんな井口さんのお話から、このキャッチコピーは、インターネットの世界の怖さを乗り越えて、新しい何かがあるかもしれないという期待を持って未知の出会いに向かうための覚悟を表しているとして捉えられるのではないかと思いました。一般的な企業のキャッチコピーとは異なり、インターネットに向かう個人が自分自身に向けて発する言葉のキャッチコピーです。単なる広告スローガンではなく、一人ひとりの内面的なメッセージがキャッチコピーとしての役割を果たすことを目指して考えました。

「見えない世界でも良い人でありたい。」映像企画概要

今回のアイデアは、見えない世界の未知なるものとの出会いを象徴するアノマロカリスという生物をモチーフにしています。アノマロカリスは、およそ5億年以上前に突如として現代に見られる動物の「門」が出そろったとする現象である「カンブリア爆発」の生物の多様性の象徴です。この企画では、これからの自分の進化のシンボルとして描かれます。

ストーリーボード

物語の舞台は暗くて見えない深海です。ここで、主人公がアノマロカリスに乗って海を進みます。この暗い海の中で、アノマロカリスの体から広がる神経のようなネットワークが光を放ち、周囲を照らします。このネットワークが広がるにつれ、様々な人々の顔が現れます。現れたり隠れたりする人々、飛んでいるような人々など、興味深い人々がこの見えない世界に存在します。この物語では、主人公がこの見えない世界で良い人であることを望み、その光に照らされながら、新しい世界を探求します。この物語は、インターネットの世界が持つ未知なる出会いの可能性を象徴しています。

「見えない世界でも良い人でありたい。」映像企画プレゼンテーションの様子

井口さん: キャッチコピーからストーリーボードを見て本当に感動しています!実は最初はインターネットやSNSを使うことを躊躇していましたが、今回のアワードをきっかけに自分自身もInstagramで作品を発信するようになり、それがこの映像にも反映されています。始める前は、この企画書のアノマロカリスのように何が正しいか分からない状態でしたが、その感情がこの絵によって、表現されていると感じました。

石関さん: 当初、このキャッチコピーを見たとき、「見えない世界」という言葉には怖さやネガティブなイメージを感じていました。だけど、実際には、そこにはポジティブな見方もあると気づかされました。また、アノマロカリスという古代の生物について言及された部分が印象的で、この生物が、進化の過程で様々な枝分かれをしてきたということで、インターネットの性質を象徴しているように思えます。アノマロカリスが未知の世界との出会いやインターネットの可能性を表していることが理解でき、非常に意味深いものだと感じました。

今後は、完成したストーリーボードをもとに、映像制作の各プロセスを進めていきます。まずは、ストーリーボードに沿って視覚的な要素を具体化しつつアニメーションを制作し、次に、映像編集の工程を経て、ナレーションや音楽などが追加されていきます。最終的に、これらの要素が組み合わされ、一つの映像作品として完成します。制作現場見学では、制作プロセスが学べるよう、過去の映像作品をサンプルに、今津氏が行う映像編集の工程を特別に見せていただきました!

今津氏:私はすべてデジタルで作業していて、Photoshopで描いた絵を、主にAfter Effectsを使って編集しています。アニメーションや背景素材を組み合わせて、シーンを作ったりタイムラインに素材をたくさん追加したりしながらアニメーションを作ります。音楽や効果音もここで合わせます。

さらに、細かい動きを加えたい時は、レイヤーを追加したりして、アニメーションを豊かにしています。全体のクオリティを高めるために、アニメーションのフレーム数は、1秒に12枚で、これを基にコンテを作って、それに従ってアニメーションを作っています。

石関さん:今津さんのアニメーション制作では1秒に12枚、時には24枚や8枚のフレームを使うことを知り、驚きました。それぞれのフレームには、工夫やこだわりが込められていると思います。これまで何気なく見ていたミュージックビデオも、実はそうした細かい工夫がたくさんあるんだと気づきました。それを知って、制作に対する尊敬とリスペクトの気持ちが湧いてきました。

井口さん:私も以前、プロジェクションマッピングを使ったアニメーションを作ったことがありますが、それは非常に簡単な作業でした。しかし、今日の話を聞いて、アニメーション制作のレベルが桁違いであることを実感しました。今までアニメーションをただ美しいと感じていましたが、制作に込められた苦労や制作者の感情を考えると、見方が変わります。本当に、今まで見ていたものには、どれだけの努力と感情が込められているか、アニメーションの奥深さに驚かされました。。

これから、「見えない世界でも良い人でありたい。」映像企画も、このような制作プロセスを経て完成していきます。完成した映像作品は、後日10代のデジタルエチケットの公式サイトで公開される予定です。ぜひご期待ください!

*映像作品が公開されましたましたので、ぜひ、こちらよりご覧ください

クリエイター紹介

今津良樹氏(Yoshiki Imazu)
アニメーション作家。代表的な作品に、サザンオールスターズ「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」(MVアニメーションディレクター)、Mr.Children「Documentary film」MVアニメーションパート、DONE&STADIUM TOUR2017「1999年、夏、沖縄」(ステージ映像アニメーションディレクター)、amazarashi「さよならごっこ」(MVアニメーションディレクター)、星野源「不思議」リリックビデオ、King Gnu「雨燦々」カバーアート、「雨燦々」「BOY」MVアニメーションパート、DREAMS COME TRUE 「スピリラ」MV(アニメーションディレクター)など。